ひょうたん補完計画 Part3


 ひょうたん補完計画







Part3: 1977年12月号〜1978年3月号


掲載号ストーリー

冒険王77年12月号表紙
 77年12月号
77年12月号扉絵
77年12月号扉絵

武蔵中初回の攻撃、先頭バッターの長池(一寸法師)はバントの構えで佐久二中守備陣を牽制すると、前進守備の裏をかいてのヒッティングでレフト前ヒット。出塁すると続く諸星(ピーマン)空振りの隙に二塁へ盗塁。更にピーマンの送りバントで三塁に進塁する。

77年12月号・快走、一寸法師!
快走、一寸法師!

続く三番野々宮(キャプテン)はショートライナーで倒れるが、ツーアウト三塁の場面で兵太は茅野との初対決を迎える。打率八割の天才バッターとして注目を浴びる兵太に、茅野は自身の容姿をからかわれた幼少時のコンプレックスから、激しい闘志を燃やしていたのだ。

77年12月号・対決!兵太対茅野 茅野のコンプレックス
対決!兵太対茅野 / 茅野のコンプレックス

シュートとカーブで2ストライクに追い込んだ茅野から兵太はセンター深くに長打を放つ。同点ツーランを確信し、湧き上がる武蔵中ベンチだったが、なぜか兵太の打球はセンターの手前で急速に衰え、センターフライに終わってしまう。茅野はその抜群のボールコントロールで、自身の投球を兵太のバットの芯に当てさせなかったのだ。兵太のバットを拾った一寸法師は、バットの中程に大きな傷が出来ているのに驚く。結局武蔵中は初回の攻撃を無得点に抑え込まれてしまう。

77年12月号・兵太のバットに大きな傷が!
兵太のバットに大きな傷が!

二回、佐久二中の攻撃は六番、今川の打順だが、浜本(ハンサム)の投球に手が出ない。かと思うと続く七番、野田は一塁線へセーフティーバントを決め、俊足をいかして悠々セーフ。兵太はその動きに一番バッターのイメージを連想する。八番長谷川送りバントの後、登場した九番、キャッチャー小林は本来は三番打者。実は佐久二中は打順も変則で、トップが四番から始まっていたのだ。小林は三番打者の長打力で右中間を深々と破る長打を放つが、武蔵中は俊足、一寸法師のファインプレーでこれを押さえた。

77年12月号・巧妙な佐久二中の作戦…
巧妙な佐久二中の作戦…

武蔵中は佐久二中の変則攻撃に反撃のペースをつかめず、二回裏も三者凡退。2対0のまま佐久二中に先制を許したまま三回の守備につく。マウンドへ向かおうとするハンサムに、田宮先生が全力投球で先頭打者を打ち取るよう指示を出す。更に東郷先生も一・二番と八・九番の打者に注意するようアドバイスをする。あの振りにはクリーンナップを打てる力があるというのだ。アドバイスを受けたハンサムは先頭バッターの中田に初球からフォークボールを繰り出し、中田をセカンドゴロに討ち取る。ハンサムの投球内容の変化に、佐久二中の監督も気付いた。ベンチの茅野に、武蔵中のベンチには歴戦の猛者がいると告げる監督。監督は東郷先生の経歴を知っていたのだ。

77年12月号・クリーンナップを打てる力がある 茅77年12月号・歴戦の猛者…
クリーンナップを打てる力がある / 歴戦の猛者…

回は進み、最終九回裏、2点差を追っての武蔵中の攻撃。ここまで小さな身体で武蔵中の攻撃を無得点に抑えてきた茅野はさすがに疲労の色が隠せず、苦しげに肩で息をする。ここで茅野が迎えるのは今日ノーヒットに押さえ込まれている兵太だ。残る力を振り絞って投げ込む茅野!だが、その球を打った兵太の打球はピッチャー返しとなり、茅野を襲う!更に先程の打席で傷の付いていた兵太のバットはこのヒッティングで遂に折れてしまい、茅野に向かって飛んでいく!

自分に飛んでくる折れたバットを見た瞬間、茅野の脳裏に小さい頃にいじめられ、子供たちから石を投げられた過去の記憶が蘇った。バットをよけながら捕球しようとした茅野だったが失敗してボールを落としてしまう。落ちたボールを拾ってすかさず一塁へ送球したものの何と暴投!兵太はすかさず二塁へ進塁し、ワンヒット、ワンエラーでノーアウト二塁となった。

77年12月号・疲労困憊の茅野に兵太のバットが! 茅77年12月号・よみがえる暗い過去…
兵太のバットが! / よみがえる暗い過去…

武蔵中はこのチャンスに一気にたたみかけ、続く五番三好(ニキビ)がセンター前ヒット。六番神戸(クチナシ)がセンター右に抜ける長打で兵太、ニキビが生還し2対2の同点。更に七番木下(ミミ)の送りバントでクチナシは三塁に進み、ワンナウト三塁。八番のハンサムはキャッチャーフライで倒れたものの、続く九番佐久間のライト前サヨナラヒットでクチナシが生還、劇的な逆転サヨナラで佐久二中を下し、決勝戦進出を決めた。

77年12月号・茅野に襲いかかる武蔵中打線! 77年12月号・よ佐久間のサヨナラヒット!
茅野に襲いかかる武蔵中打線! / 佐久間のサヨナラヒット!

試合終了を告げるサイレンが鳴り響く中、精魂尽き果てマウンドにうずくまる茅野。うめくように、少なくとも兵太には勝ったはずだとつぶやく茅野の姿に、佐久二中の監督は心の中で茅野の健闘をたたえていた。「お前をいじめる奴なんかもういないさ」と。

涙をぬぐう茅野に、寄り添うように励ますチームメート達。グラウンドを後にする佐久二中ナインの姿を見ながら、兵太は「試合には勝ったが、お前との勝負ではおれの負けだよ」と心の中でつぶやく。

試合の後、夕暮れの城跡で一人黙々とバットを振る兵太。その兵太の傍らでは、地面に置かれたラジオが開明中がからくも荒川中に勝利し、明日の午後武蔵中と決勝戦を戦う事になったと告げていた…

77年12月号・お前をいじめる奴なんかもういないさ
お前をいじめる奴なんかもういないさ


冒険王78年1月号別冊付録表紙
 78年1月号
 (別冊付録)
78年1月号別冊付録扉絵
78年1月号別冊付録扉絵

遂に始まった武蔵中と開明中による中学野球選手権大会地区予選決勝戦。スタンドには昨日の準決勝戦で武蔵中に敗れた佐久二中のエース、茅野の姿もあった。

住吉のシュート 開明中ナイン
住吉のシュート / 開明中ナイン

後攻の開明中はもちろんエース、住吉がマウンドに立つ。一回表、武蔵中の攻撃。先頭バッター長池(一寸法師)三振後、二番の諸星(ピーマン)がライト前ヒットで出塁すると、田宮先生は続く三番、野々宮(キャプテン)に送りバントのサインを出す。ネクスト・バッターズ・サークルの兵太は、そのサインに田宮先生が昨日の試合で茅野に押さえ込まれた自分の奮起に期待している事を痛いほど感じていた。

さからわず右方向へ! おれに…期待を…
さからわず右方向へ! / おれに…期待を…

裏の裏をかかれちまった
裏の裏をかかれちまった

キャプテンは一塁線ギリギリに止まる絶妙なバントで一二塁オールセーフとすると、四番の兵太につなぐ。「三振するつもりで思い切り振れ!」と兵太に檄を飛ばす田宮先生。対する住吉は全力投球と見せて何と超スローボール!あぜんとする一同に、住吉は二球目も超スローボール。意表をつく投球でツーストライクをとった住吉だったが、まるで兵太との勝負を避けているような住吉のピッチングに、武蔵中ベンチや応援団は大ブーイング。しかしそんな雑音を気にも留めず、住吉は兵太との勝負を最後の一球に賭けていたのだ。

思い切り振れ! 意表を突くスローボール
思い切り振れ! / 意表を突くスローボール

勝負球は一球あればいい!
勝負球は一球あればいい!

渾身の剛速球で兵太との勝負に挑む住吉!だが、住吉の球筋を読んだ兵太はその剛速球をレフトポール直撃のきわどいコースで思い切り打ち返す。兵太の先制スリーランホームランで一気に三点を先制し、意気上がる武蔵中ベンチ。更に続く五番三好(ニキビ)はピッチャー強襲の長打コース。開明中の守備の乱れに乗じて三塁打とすると、六番神戸(クチナシ)はあわやツーランホームランかと思う犠牲フライでニキビを生還させ、四点目を入れる。

もらったーっ! レフトポール直撃のスリーラン!
もらったーっ! / レフトポール直撃のスリーラン!

8割打者ここに復活! 俺が本塁へ返してやる!
8割打者ここに復活! / 俺が本塁へ返してやる!

一回裏、浜本(ハンサム)はスタンドで観戦する茅野の予想通り立ち上がりの不安定さを攻められ、トップバッターの五十嵐にセンター前ヒット、続く二番田上にレフト前に連続ヒットを打たれてノーアウト一二塁とされる。しかしここでハンサムは踏ん張り、三番マイケル堀田を得意のフォークボールでショートゴロに打ち取り、ダブルプレーでツーアウト三塁、四番住吉の打席を迎える。住吉相手に全力投球したハンサムだったが、住吉はハンサムの球をスタンドにライナーで飛び込むツーランホームランで叩き返し、武蔵中からたちまち二点をもぎ取った。続く五番五木をピッチャーゴロに打ち取ったものの、武蔵中は開明中に四対二と詰め寄られてしまう。

浜本さんの立ち上がりが見物だ… 二点をもぎ取る住吉!
浜本さんの立ち上がりが見物だ… / 二点をもぎ取る住吉!

三回表、住吉は先頭の八番ハンサムをキャッチャーフライに仕留めると、九番佐久間の打席。住吉の速球に闘志を燃やす佐久間だったが、打球はセカンドライナー。住吉に一矢報いることはできなかった。更に一寸法師も討ち取られ、武蔵中は三回表の攻撃を三者凡退に抑えられる。

甘く見られてたまるか やい住吉打たせろ!
甘く見られてたまるか / やい住吉打たせろ!

四回表、武蔵中は兵太の三塁線を破る二塁打でキャプテンがホームを踏み、更に一点を追加、開明中を五対二と突き放す。田宮先生も昨日の不調が嘘のような兵太の活躍に目を見張る。

とても昨日の兵太とは思えない
とても昨日の兵太とは思えない

四回裏、開明中の一番、五十嵐の打球はイレギュラーバウンドで、捕球しようとした兵太のグラブをはじいてサード強襲のヒットとなり、ワンアウトランナー一塁。二番、田上の送りバントでツーアウト二塁となったところで打席には長打力を秘めた三番マイケル。マイケルの打球は右中間フェンス直撃の弾丸ライナーとなり二塁ランナーがホームに帰り一点を返したものの、あたりが強すぎてマイケルは一塁ストップ。だがここでバッターには住吉を迎える。

長打力を秘めたマイケル 住吉登場!
長打力を秘めたマイケル / 住吉登場!

住吉はハンサムの初球を思い切り空振りしたものの、二球目を三塁線へ鋭い打球ではじき返す!兵太が打球に飛びついたものの追いつけず、住吉の打球は長打コースとなる。五十嵐がホームに帰った後、打った住吉は何と三塁を蹴ってホームへ!ホームを狙う住吉とキャッチャー、クチナシの一騎討ち。緊迫のクロスプレーの中、高々とあげた住吉のスパイクはクチナシのプロテクターを削り取る!だが間一髪、クチナシの身体を張ったブロックでホームを落とすことは出来ず住吉は本塁憤死。開明中は一点差においあげたものの、同点とすることはできなかった。

三塁を蹴る住吉! ランニングホーマーだと!
三塁を蹴る住吉! / ランニングホーマーだと!

緊迫のクロスプレー! 住吉本塁憤死!
緊迫のクロスプレー! / 住吉本塁憤死!

ちょうどその頃、球場にやって来た一台のタクシー。中から降り立ったのはスーツケースを携えた一人の男。男は球場の入り口で昼寝をしていた茅野に近づくと茅野の名を呼ぶ。その声に、うるさげに起き上がった茅野だったが、男の顔を見て顔色を変える。男は、何と東京に旅立った西川(ハム)だったのだ!茅野とハムの間に一体何があったのか…

だったら何だと… 忘れるはずがないだろう
だったら何だと… / 忘れるはずがないだろう

その頃武蔵中と開明中の決勝戦は武蔵中一点リードのまま五回表武蔵中の攻撃。ツーアウト後フォアボールでキャプテンが出塁、そして打席には兵太が立つ。

兵太対住吉、三度目の対決!
兵太対住吉、三度目の対決!



冒険王78年2月号表紙
 78年2月号
冒険王78年2月号扉絵
冒険王78年2月号扉絵

この決勝戦、住吉との三度目の対戦に臨む兵太。住吉の初球を打ち上げてしまった兵太の打球を開明中のキャッチャー、五木が追う。しかしバックネットすれすれに高く上がった打球は仲々落ちてこない。球はしかし上空で大きく落下地点をそらした。球を追った五木は脱ぎ捨てた自らのキャッチャーマスクにつまづいて転倒、地面で後頭部を強打してしまう!心配して駆け寄る住吉に大丈夫だと告げて、何事もなかったように試合に戻る五木だったが、住吉の球を捕球しようとした瞬間、ボールが二つに見えて捕球に失敗し後逸!キャプテンの盗塁を許してしまう。

住吉の初球を打ち上げた兵太 兵太の打球を追う五木
住吉の初球を打ち上げた兵太 / 兵太の打球を追う五木

五木、後頭部を強打! ボールが2つに!
五木、後頭部を強打! / ボールが2つに!

三塁に進塁したキャプテンを横目に、兵太との対決に戻る住吉。開明バッテリーは兵太に対しインコースへ食い込むボール気味のシュートで勝負する。ツーストライクと追い込んだ兵太に住吉の剛速球は絶好のコース!思わず打ちにいった兵太だったが、何と住吉の球は手元でシュート!兵太の左手の甲に炸裂する!住吉の剛速球を左手の甲でもろに受け、もんどり打って倒れる兵太!あまりの痛さにしばらく地面に倒れ込み、苦しんでいた兵太だったが、気力で立ち上がると一塁へと向かう。

インコースへ食い込むシュート! 兵太、デッドボール!
インコースへ食い込むシュート! / 兵太、デッドボール!

続く五番 三好(ニキビ)は住吉の股下を抜くピッチャー返しでタイムリーヒット。キャプテンが生還し、武蔵中は六対四とリードを広げる。六番クチナシは住吉のシュートに狙いを絞り、一塁線を抜くヒット。兵太が生還したものの自身は暴走してしまい、二塁を狙うがアウトになってスリーアウトチェンジ。しかし武蔵中はキャプテン、兵太の生還で七対四と開明中を突き放す。

あいつは生理的に好かん クチナシ、暴走!
あいつは生理的に好かん / クチナシ、暴走!

五回裏の守備につく武蔵中ナイン。田宮先生の心配にはおどけて応えた兵太だったが、グラブをはめた左手に触れただけで身体を貫く激痛に思わずたじろぐ。だが、自分の負傷がナインの士気に与える影響を恐れた兵太はこの事を誰にも言うまいと決心した。

しかし、そんな手負いの兵太を追い詰めるように、打球がサードゴロとなって兵太の元へ。グラブで捕球したものの、まるで身体に電流が走ったような痛みで兵太はボールをはじいてしまう。

骨を砕かれる様な激痛が! 捕球できないっ!
骨を砕かれる様な激痛が! / 捕球できないっ!

調子の安定しないハンサムに兵太の失策もあり、武蔵中はノーアウト満塁のピンチを迎える。すっかり投球のリズムを狂わせてしまったハンサムは、きわどいコースでストライクが入らなくなり、もどかしさのあまり、つい主審に文句をつけてしまう。たまらずマウンドに駆け寄ったナイン達に、平静を装うハンサムだったが、本心では審判の判断に納得していかなった。

ノーアウト満塁! ハンサムが主審に文句を!
ノーアウト満塁! / ハンサムが主審に文句を!

気持ちを切り替えて投げた球もボールの判定をとられ、遂に気持ちが切れてしまうハンサム。すっかりリズムを狂わせてしまったハンサムは打者に三者連続のフォアボールを与え、痛恨の押し出しで七対五とされてしまう。この状況で迎えるバッターは長打力のある三番マイケル堀田。さすがの田宮先生もこの状況にはたまらずピッチャー交代を告げる。

ここに及んでのピッチャー交代に不審がる武蔵中ナイン。そんな中、佐久間は遂に田宮先生が自分の力を認めてくれたと、内心ぬか喜びするが、告げられた交代ピッチャーは兵太だった。

痛恨の押し出し ピッチャーは兵太!
痛恨の押し出し / ピッチャーは兵太!

この場面での兵太の起用、「また思い切ったことをする」という東郷先生に、日頃の兵太のピッチング練習を知っていた田宮先生は、素人ではないと応える。

マウンドで投球練習する兵太。しかしそのピッチングフォームはいつものスリークォーターではなく、何とサイドスローだった。兵太はハンサムよりスピードの劣る自らの弱点を補うため、低めにコントロールしやすいサイドスローにしていたのだ。

スリークォーターのはずだったが… だからサイドスローで投げる!
スリークォーターのはずだったが… / だからサイドスローで投げる!

だが、マイケルは投手の代わり端を叩くという鉄則どおり、兵太の初球を痛打!何とライト場外への逆転満塁ホームランとしてしまう。開明中はこの回一挙五点をあげ、九対七と遂に逆転に成功する。

痛恨の逆転ホームランに手の痛みも忘れ、思わず天を仰ぐ兵太。だが今や自分がこの試合の主役であるピッチャーなのだと改めて自覚した兵太は、負けそうになる自らの気持ちを奮い立たせようと、あえて高らかに笑うのだった。そして兵太は次のバッターである住吉との対決を迎える…

マイケル、逆転満塁ホームラン! まだまだ勝負はこれからよ!
マイケル、逆転満塁ホームラン! / まだまだ勝負はこれからよ!



冒険王78年3月号別冊付録表紙(冒険王コミック文庫)
 78年3月号
(別冊付録)
冒険王78年3月号別冊付録扉絵
冒険王78年3月号別冊付録扉絵

住吉を打席に迎えた兵太。サイドスローから繰り出す内角ギリギリのコーナーワークに住吉も翻弄される。だが三球目を打ち返した住吉の打球はピッチャーライナーとなり、兵太に向かって打ち返される。それをとっさにグラブでたたき落とす兵太!だがその瞬間、兵太の痛めた左手に激痛が走る!痛みをこらえ、すぐさまボールを拾って一塁へ送球、住吉を討ち取った兵太だったが、この事で更に左手を痛めてしまう。

勝負はまだまだこれからです
勝負はまだまだこれからです

ピッチャーライナーを叩き落とす! 痛めた左手に更にダメージが!
ピッチャーライナーを叩き落とす! / 痛めた左手に更にダメージが!

なんとか開明中の攻撃をしのぎ、ベンチへ戻った兵太は田宮先生に緊張を理由に洗面所へ行くことを申し出る。だが、その兵太の様子に違和感を感じた佐久間は密かに兵太の後を追った。

ちょっとトイレへ…
ちょっとトイレへ…

洗面所で佐久間は洗面台にもたれかかり、全開にした水道に左手をつけて腫れ上がった左手を冷やしている兵太の姿を見つける。佐久間に気付いて顔を上げた兵太は何と涙を流していた。「この男でも泣くことがあるのか…」と、その様子に驚く佐久間。バットが握れないとつぶやく兵太の様子に、水につけた左手を見させた佐久間は兵太の腫れ上がった左手に愕然とする。こんな大事な試合にバットが握れず、悔しくて泣けてくるという兵太に、佐久間はすぐに降板を申し出るよう忠告する。ハンサムがまだ回復していないという兵太に、ピッチャーはもう一人いると応える佐久間。「そういうことか」と勘ぐる兵太に、佐久間は「俺のきもち分かってもらえないのか!」と兵太の頬に平手打ちを食らわせる!

佐久間か… この男でも泣くことがあるのか…
佐久間か… / この男でも泣くことがあるのか…

おれの気持ち分かってもらえないのか!
おれの気持ち分かってもらえないのか!

その頃、スタジアムの外では佐久二中の茅野が、西川(ハム)を何度も殴りつけていた!何故か殴られるままのハムだったが、小学生の頃、夏休みにわずかな期間訪れた親戚の家で、彼自身は石を投げたりしたことはなかったが、茅野をいじめた側にいたために誤解され、ずっと茅野に逆恨みされていたのだった。自分は犬や猫のようにいじめられて逃げたりはしないという茅野にハムは、恨み心をいつまでも抱いているかぎり、君はこれからも負け犬のままだと応える。

おれの気持ちが分かってたまるか! 君は負け犬だ
おれの気持ちが分かってたまるか! / 君は負け犬だ

人は許せる心を持ってこそ成長していく、殴ることですべてが解決するなら自分は君を気の毒な人間だと思う、と穏やかに茅野に語るハム。そのハムの言葉に、いつしか茅野の目から涙が流れ落ちていた…

人は許せる心を持ってこそ成長していく…
人は許せる心を持ってこそ成長していく…

一方、スタジアムでは武蔵中と開明中の試合が最終回の攻防を迎えようとしていた。毎回ランナーを出しながらもなんとか無得点に抑えてきた兵太だったが、左手の負傷もあり、体力の限界を迎えようとしていた。しかし対する開明中住吉もまた疲労困憊。ベンチでバケツの水を頭からかぶり、9対7と2点リードのまま最終回の守備に向かう。

兵太、死力の投球! 両投手、共に疲労困憊…
兵太、死力の投球! / 両投手、共に疲労困憊…

2点のリードは守り切る!
2点のリードは守り切る!

九回表、武蔵中の攻撃は9番佐久間の打順。だが、開明中のキャッチャー五木は再び視覚に異常をきたし、捕球しようとしたミットが佐久間のバットに触れてしまい、打撃妨害をとられてしまう。佐久間を一塁に置き、続く二番長池(一寸法師)はピッチャー前に転がる送りバント。

五木の視覚にまた異常が! 打撃妨害だ!
五木の視覚にまた異常が! / 打撃妨害だ!

疲労の色濃い住吉にバント攻撃!
疲労の色濃い住吉にバント攻撃!

だが、体力を消耗している住吉は足がもつれてボールを投げられず、ランナー一二塁としてしまう。更に二番諸星(ピーマン)も連続で住吉の足下にボールを転がす送りバント。気力でボールに飛びつき、なんとか諸星をアウトにした住吉だったが、その足は痙攣し、小刻みに震えていた。

さらに住吉をバントで攻める! 足が小刻みに震えてやがる…
さらに住吉をバントで攻める! / 足が小刻みに震えてやがる…

三番野々宮(キャプテン)はランナー二、三塁のチャンスに、手の負傷で長打を期待できない兵太の分も自分が頑張れねばと気合いを入れる。右中間に大きく伸びた打球は、ホームランにはならなかったものの、ライトがとれず、佐久間がホームインしてまず一点!

俺がなんとかしなければ… キャプテンの長打!
俺がなんとかしなければ… / キャプテンの長打!

更に一寸法師が三塁を蹴ってバックホームを狙うが、ここでキャッチャー五木は再び視覚異常を起こし、ホームに突っ込んでくる一寸法師の姿がぼやける!外野からの返球をカットしたマイケルが矢のような返球を返すが、目の見えない五木は捕球できない恐怖に思わず叫ぶ!

その時、カバーに入った住吉が五木を突き飛ばすとマイケルの返球を受け止め、一寸法師のバックホームを阻止しようと一寸法師めがけて飛びつく!

再び五木の眼に異変が! やめろ〜っ!!
再び五木の眼に異変が! / やめろ〜っ!!

だが住吉の反応を見た一寸法師はすかさず飛びつく住吉の身体の下をかいくぐり、ホームにタッチ!遂に同点に追いついた。更に住吉は進塁するキャプテンのアウトにも失敗し、三塁への進塁を許してしまう。

一寸法師、生還!! キャプテン、三塁へ!
一寸法師、生還!!/ キャプテン、三塁へ!

ここで今日五度目の対決となる兵太を打席に迎える住吉。兵太は住吉の速球を衝撃でバットを飛ばしながらも打ち返し、レフト前ヒット!キャプテンが返って遂に逆転に成功する。しかし続く三好(ニキビ)はセカンドゴロでダブルプレーとなり、回は九回裏、開明中最後の攻撃に移る。

兵太、捨て身の一打! 武蔵中、逆転!!
兵太、捨て身の一打! / 武蔵中、逆転!!

だから勝つ!
だから勝つ!

ベンチで腫れ上がった左手を田宮先生に見せる兵太。限界に達した兵太は、自ら降板を申し出ると佐久間への継投を進言する。ライトに下がる兵太に勝負を逃げたと不満げな住吉。しかし佐久間の立ち上がりを叩いたマイケルのファーストライナーをファーストに変わった木下(ミミが)長い手を活かしてダイレクトキャッチ、ワンアウトとする。

佐久間とかえてください… なぜ勝負しない?
佐久間とかえてください… / なぜ勝負しない?

ミミのダイレクトキャッチ!
ミミのダイレクトキャッチ!

続く四番住吉の打球は佐久間へのピッチャー返し!その打球の勢いに思わず身をかわしてしまう佐久間。武蔵中応援団も佐久間のそのプレーに思わずブーイングを浴びせる。住吉の打球はセンター前ヒットとなり、五番、キャッチャー五木を打席に迎える。自らのミスでチームを危機に追い込んだ五木は、ホームランでの逆転を強く願うがまるで五木の思いが乗り移ったかのように、その執念の打球はライトスタンド一直線のホームランコース!緊迫の場面での長打に愕然とする武蔵中ベンチ!

負けてたまるか! ピッチャー返しを避けた!
負けてたまるか! / ピッチャー返しを避けた!

ホームランが欲しい!!
ホームランが欲しい!!

だがその時、ライトに入っていた兵太が観客席の塀に向かってジャンプすると塀を蹴り上げ、その反動で空中高く飛び上がると五木の打球を右手で背面キャッチ!空手を応用した超人的な体技で五木の長打を封じる。一塁へ返球する兵太だったが、住吉は呆然と立ち尽くしたまま動かない。

ライトをよく見ろ! とても人間技じゃない!
ライトをよく見ろ! / とても人間技じゃない!

立ち尽くす住吉…
立ち尽くす住吉…

一塁へ戻らなければダブルプレーでゲームセットとなってしまうが、一二塁間に立ち尽くしたままの住吉。兵太からの返球をミミがキャッチし、ダブルプレーでゲームセット。この瞬間、10対九で武蔵中が地区大会決勝戦を制し、東京での全国大会に駒を進める事になった。立ち尽くしたまま、「疲れた…今はただ眠りたいだけだ…」とつぶやく住吉に、兵太は「住吉、勝負を捨てたな、お前の悪いクセだ!」とつぶやく。

今はただ眠りたいだけだ…
今はただ眠りたいだけだ…

試合終了を告げるサイレンが鳴り響くスタジアムの外で、座り込んでいたハムと茅野はその音を聞いていた。これで自分のまとめた東京代表2チームのデータも活かされるというハムに、データなど役に立つかという茅野。しかしハムはそんな茅野に「闇雲に戦って勝つのはまぐれさ。野球は計算とデータ、それにチームワークと機動力で成り立つスポーツなんだ」と説く。茅野はそのハムの言葉にハッとし、その言葉を一人かみしめるのだった…

武蔵中、全国大会へ! 闇雲に戦って勝つのはまぐれさ
武蔵中、全国大会へ! / 闇雲に戦って勝つのはまぐれさ




以下、Part4へ続く!






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