ひょうたん補完計画


ひょうたん補完計画
単行本掲載以降の「ひょうたん」を補完する

  ひょうたん補完計画

内山まもる少年野球漫画の代表作とも言える「ひょうたん」(1974〜1979・秋田書店 冒険王連載)。しかし単行本は途中までしか刊行されておらず、更に連載の一部が別冊付録に切り出されたりしたため、現在では物語の全貌を追うことが極めて困難な作品となっています。このコーナーではそんな不遇な作品に光を当てるべく、不完全ながらも手持ち資料を元にそのストーリーの再現を試みたいと思います。

【おことわり】
掲載しているストーリー、画像は個人的に収集した当時の掲載誌からのものです。原則、画像は製本された状態で撮影していますので一部見づらい部分がありますがご了承ください。





 ひょうたん補完計画




◆◆ INDEX ◆◆




Part1: 1976年12月号〜1977年5月号


単行本第5巻は1976年11月号までの収録です。5巻の最後、清水中との試合には勝利したものの大事な右手を負傷してしまった浜本(ハンサム)が、宿舎の布団の中で突然痛み出した右手に焦るシーンからの続きになります。



掲載号ストーリー

冒険王76年12月号表紙
 76年12月号
76年12月号扉絵
76年12月号扉絵

単行本5巻からの続き。宿敵開明中との激闘を制し、中部・北陸地区中学野球選手権大会に勝ち進んだ武蔵中は、静岡県代表清水中と対戦し、熱戦の末辛くも勝利した。しかしピッチャーの浜本(ハンサム)は試合中に痛めた右手が腫れ上がり、完投できる状態ではなかった。

単行本からの続き場面 リリーフに指名される兵太
単行本からの続き場面 / 田宮先生は兵太をリリーフに

迎えた岐阜県代表、乗鞍中との一戦。ハンサムは右手の痛みをこらえながらも力投し、持ち前の切れの良いフォークボールを武器に乗鞍中打線を9回表まで無得点に抑える。しかし武蔵中打線も、乗鞍中の投手鞍田にノーヒットノーランに押さえ込まれ膠着状態。そんな中、ハンサムも遂に限界を迎えてコントロールを乱し、田宮先生は兵太をリリーフに指名する。

ピッチャー、日高! 兵太、3点目を阻止!
ピッチャー、日高! / 兵太、3点目を阻止!

ノーアウト満塁のピンチの中、外野からの返球を兵太がカットし、矢のようなバックホームで乗鞍中の攻撃を2点に抑えると、俊足、長池(一寸法師)が内野安打で出塁し、兵太の場外ツーランホームランで同点。更に東郷先生のコーチでスイッチヒッターとなった三好(ニキビ)のソロホームランで逆転し、乗鞍中を下して決勝戦へと駒を進めるのだった。

ニキビのソロホームラン! 武蔵中逆転勝利!
ニキビのソロホームラン! / 武蔵中逆転勝利!


冒険王77年1月号表紙
 77年1月号
77年1月号扉絵
77年1月号扉絵

遂に中部・北陸中学野球選手権大会決勝に望む武蔵中ナイン。東郷先生は対戦相手の石川県代表尾山中学、桑山監督の顔に見覚えがあった。実は桑山監督は以前、東郷先生と同じ四国の中学で野球部の監督をしていたが、決まって決勝戦で負けてしまい、生徒からは「敗軍の将」と呼ばれていたというのだ。

尾山中戦前の練習 敗軍の将…
尾山中戦前の練習 / 敗軍の将…

試合は初回から武蔵中ペース。兵太の先制スリーラン、続く三好(ニキビ)のソロホームランで一気に4点を先制する。浜本(ハンサム)の好投で3回までを三者凡退に討ち取り、更に二回、三回に2点を加えて完全な武蔵中ペースと思われたものの、四回から登板した二番手、長野田の好投に押さえ込まれてしまう。更に好投していたハンサムもデッドボールをきっかけにコントロールを乱し、尾山中の四番、金光に走者一掃の二塁打を浴び、6対3ノーアウト二塁とされてしまう。

フォーク連投のハンサム 敗軍の将…
フォーク連投のハンサム / 追いすがる尾山中打線!

追い込まれたハンサムは遂に、多投を恐れ使わずにいたフォークを投げて三者連続三振に討ち取るがフォークの連投で右手の指から出血、チーム打率3割8分を誇る尾山中に、遂にフォークボールを打たれてツーランホームランで一点差まで詰め寄られ、更に逆転ツーランホームランを浴びて7対6と逆転されてしまう。

それでもフォークを投げるしかないハンサム! ハンサム、痛恨の逆転ツーラン!
ハンサム、痛恨の逆転ツーラン!


冒険王77年2月号表紙
 77年2月号
77年2月号扉絵
77年2月号扉絵

中部・北陸地区中学野球選手権大会決勝。試合は優勝決定戦にふさわしい白熱した展開。力投を続ける浜本(ハンサム)だが、右手の指を負傷し出血しながらの投球となっていた。更に尾山中の三番手投手長野田の力投で思うように得点できない武蔵中打線。7対6と尾山中1点リードのまま八回表の攻撃を迎えた武蔵中はファウルで粘り、ピッチャーを焦らせる作戦に出る。

一寸法師、反撃! デッドボールを受けるハンサム
一寸法師、反撃! / デッドボールを受けるハンサム

西川(ハム)、木下(ミミ)が執拗なファウル攻撃で粘った後、9番の長池(一寸法師)がすっぽ抜けの球を強引に打って長野田から初ヒットを放つ。出塁した長池の牽制で投球に集中できない長野田は続く浜本にデッドボールを与えてしまう。浜本への死球で動揺した長野田を見て、尾山中の桑山監督はエース池沼へのピッチャー交代を告げる。

ハンサム、必死の走塁!
ハンサム、必死の走塁!

だが、変わった第一球を二番諸星(ピーマン)にクリーンヒットされ、長池が同点ホームイン。更に続く野々宮(キャプテン)の連続ヒットで浜本が逆転のホームを狙う。逆転かと思われたものの、浜本は死球のダメージで思うようなランニングができずアウトになってしまった。

死力の投球!
死力の投球!

一進一退の攻防が続く。死力を尽くした力投を続ける浜本。尾山中の攻撃を兵太のファインプレーでしのぎ、最終回、兵太、三好(ニキビ)、神戸(クチナシ)の連続ヒットで兵太、三好がホームイン、武蔵中は遂に逆転に成功する。浜本は尾山中九回裏の攻撃を最後の気力で乗り切り、三者凡退。その瞬間、武蔵中の地区優勝が決まった。

武蔵中地区優勝! 武蔵中地区優勝!
武蔵中地区優勝!


冒険王77年3月号表紙
 77年3月号
77年3月号扉絵
77年3月号扉絵

尾山中を下し、中部・北陸地区中学野球選手権大会を制した武蔵中野球部。優勝旗を携え、武蔵中に凱旋したナインは番長、橋本、江戸川や荒川中ナイン等々から盛大な歓迎を受ける。開明中の住吉もメッセージを記したボールを投げ込み、姿を見せることはなかったものの武蔵中の勝利をたたえた。講堂で開かれた祝勝会。兵太はその参加者の中に見慣れない長髪の生徒を見つけ、気になっていた。

武蔵中野球部凱旋! 姿を見せてくれなかった住吉
武蔵中野球部凱旋! / 姿を見せてくれなかった住吉

祝勝会に見慣れぬ生徒が…
祝勝会に見慣れぬ生徒が…

祝勝会の後、夕暮れの秘密練習場でピッチングの練習を続けていた兵太は誰かが言い争う声を聞きつける。見ると神戸(クチナシ)と諸星(ピーマン)が西川(ハム)を問い詰め、殴っていたのだ。争いに割って入った兵太はクチナシからハムが野球を嫌いになったので野球部を退部するという話を聞く。「自分でも相撲に向いていると思う」というハム。ハムの退部理由が腑に落ちない兵太だったが、なんとかその場を収めると掃除当番に学校へ戻るというハムと別れ、クチナシ、ピーマンと共に帰るが、校門の前を塞ぐように駐められた外車をクチナシが蹴ってしまったことから、乗っていたサングラスの男(白川)とトラブルになってしまう。

ハムが退部する!? 姿を見せてくれなかった住吉
ハムが退部する!? / サングラスの男に殴られるクチナシ!


白川に殴られたクチナシをかばった兵太だったが、白川の挑発に我慢できず、白川の腹に強烈な蹴りを食らわせてしまう。腹を押さえて苦しむ白川!合気道三段の白川を一撃で倒してしまった兵太を見て、現れたあの長髪の生徒(佐久間)はその強さに息を呑んだ…

白川の挑発をこらえる兵太 兵太、怒りの一撃!
白川の挑発をこらえる兵太 / 兵太、怒りの一撃!


冒険王77年4月号(ジャンボコミック)
 77年4月号
(別冊付録)
※本別冊付録は扉絵なし


兵太に倒された白川はよろよろと立ち上がると、立ち去る兵太達に襲いかかろうとするが、それに気付いた佐久間が目にもとまらぬ動きで当て身を食らわせ、兵太達を襲おうとした白川を制した。その素早い動きに只者ではない印象を持つ兵太。

転校してきた佐久間 あいつはただの生徒じゃない…
白川を当て身で制する佐久間! / あいつはただの生徒じゃない…

学校に戻った兵太達だったが、ハムの退部の件もありなんとなくイライラして落ち着かない。そんな中、マネージャーの朝倉が次の対戦相手、山梨県にある大月二中のレポートを持ってきた。大月二中はごく最近野球同好会から部に昇格したばかりの部員9人のチーム。猛練習で予選を勝ち抜いて県代表になり、部として認められたものの、大会直前に部員達が風疹に倒れ、中部・北陸地区中学野球選手権大会に出場出来なかった不運のチームだ。練習に励む大月二中野球部は武蔵中との一戦を、出場出来なかった中部北陸大会の決勝戦と思って闘志を燃やしていた。

一方、武蔵中には兵太達のクラスに佐久間が転入してきた。満席のクラスにあえて転入した来た佐久間に、どことなく心穏やかでない兵太と野球部の面々。時を同じくして、学校では中部北陸大会での優勝をうけ、野球部のグラウンドも整備が始まっていた。そのグラウンド整備工事の様子を屋上から一人見つめている西川(ハム)。実はハムの父親が東京本社に転勤が決まり、ハムの一家は3ヶ月後に東京に引っ越しすることになっていたのだ。兵太達にどうしてもその事を言い出せなかったハムは、あえて兵太達に憎まれるような事を言っていたのだった…

転校してきた佐久間 ハムの父親が東京本社へ…
転校してきた佐久間 / ハムの父親が東京本社へ…

学校からの帰り道、ハムはガラの悪い男達がチェックの学生服を着た中学生を待ち伏せている処に出くわす。男達の話からその中学生が兵太だと気付いたハムは、兵太にその事を知らせようと学校にとって返した。

兵太を待ち伏せする男達 兵太が危ない!
兵太を待ち伏せする男達 / 兵太が危ない!

だが時既に遅く、兵太はあの男達に取り囲まれていた。木刀を持った男5人を相手に互角の戦いを繰り広げる兵太!

男達に取り囲まれる兵太! 戦う!
男達に取り囲まれる兵太! / 戦う!

全身傷だらけになりながら戦う兵太は、男達があのサングラスの男の仲間である事に思い当たる。さしもの兵太も多勢に無勢で徐々に劣勢を強いられるが、その時、ハムが野球部の面々を連れて戻ってきた。突然の援軍に男達も慌てて逃げ出し、兵太は間一髪で危機を脱した。兵太の危機を知りながら一人で駆けつけることが出来ず「勇気がなかった」と自分を責めるハムに、兵太は「みんなを呼んでくれなければ自分はもっとひどい目に遭っていた。ハムは自分の大の親友だ。」と礼をいうのだった。

みんなぼくのせいだ… おれの大の親友さ
みんなぼくのせいだ… / おれの大の親友さ


冒険王77年5月号
 77年5月号
77年5月号扉絵
77年5月号扉絵

野球部の新グラウンドが遂に完成した。立派なグラウンドに大喜びの野球部の面々。そこへ田宮先生が制服姿の西川(ハム)と共に現れた。転校することををどうしても兵太達に言い出せず悩むハムに、田宮先生は事実を告げ、すっきりした気分で大月二中との試合に臨むよう諭す。なおも揺れるハムの様子に、田宮先生はみんなを集め、ハムが父親の転勤で東京へ転校する事になったと告げる。事情を知り、ショックを受ける兵太。

遂に完成した新グラウンド ハムが東京に転校!
遂に完成した新グラウンド / ハムが東京に転校!

その頃、対戦相手の大月二中では武蔵中との試合を明日に控えた野球部が校庭でランニング中、サッカー部に邪魔にされていた。大月二中創立以来の運動部であるサッカー部は新参者の野球部を事あるごとに邪魔者扱いしていたのだ。野球部のキャプテンは試合前にトラブルを起こすことも出来ず、サッカー部員の暴言に拳を振るわせてじっとこらえるのだった。

サッカー部の暴言に耐える大月二中野球部
サッカー部の暴言に耐える大月二中野球部

すみれ、あざみと一緒に学校から帰る兵太は、弟のドングリが佐久間や白川と一緒にいるところに出くわす。佐久間は兵太に白川が仲間の男達を使って兵太を襲わせた事を詫びるが、兵太はその謝罪を素直に受け入れる気にはなれなかった。 大月二中との試合当日、新しい武蔵中グラウンドに見慣れないユニフォームの選手が現れる。神戸(クチナシ)や諸星(ピーマン)はその選手を追い出そうとするが、それは何と佐久間だった。しかも頭髪を総て剃り落としたスキンヘッド姿。佐久間はそれを自分なりの責任の取り方だというが、兵太は意表を突いた佐久間の行動に、その真意を測りかねる。しかも佐久間は野球部に入部するというのだ。以前の中学で野球の経験はあるものの、武蔵中野球部は部員も賛成しなければ入部を認めない事を告げる兵太。

スキンヘッドになった佐久間 田宮先生、痛恨の失態!
スキンヘッドになった佐久間 / 田宮先生、痛恨の失態!

その頃武蔵中との試合に臨む大月二中ナインを乗せた列車は一路、武蔵中へと向かっていた…



以下、Part2へ続く!






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