先週からは一転、通常のスタッフ、世界観によるエピソードでしたが、結構力の入った作品でしたね。今回のエピソードを観ていて、「ティガ」のシリーズとしてのカラーは、今回のエピソードで象徴される様な方向に固まりつつあるのかな?って気がしました。初期ウルトラシリーズの様にヒーローが高見から見下ろしてる様な視点でもないし、かといって、2期から3期頃の、ヒーローとそれををとりまく世界の関係が非常に濃厚な、等身大ベッタリな視点でもない。ちょうど初期と2期、3期の中間に位置する様な視点で世界が描かれてる様に思います。これは、ウルトラマンと、その人間体であるダイゴの関係もそうだと思うんですが、両者の結び付きが極端に希薄ですよね。シリーズ全体のどっかにある「不安定感」は、この、ちょっと不安定な世界観によるものかも知れないなとか、思いました。もっとも、今回のエピソードは、ドラマとしては、おおむねそんな不安定さを忘れさせるテンションで盛り上げてくれましたが。
でも、この「ウルトラマンティガ」というシリーズの、役者としての主役は、やっぱりシンジョウなんでしょうね。人物としての性格付けや、彼をとりまく世界が、少なくともある程度の一貫性をもって、シリーズの中で丁寧に描かれているのは、実はシンジョウだけですしね。ダイゴに今回のシンジョウの様なエピソードが全然ないのは、ダイゴって、キャラクターとしては、かなり「動かしづらい」部類だからかな?とも思えます。「熱血漢」なシンジョウに対して、明確な性格付けもされてない(あえて言えば「いいひと」なんだろうけど)、人間の時には超能力があるわけでもないし、GUTSの中でも何かエキスパートかといえば、そうでもない。このシーンで「あえてダイゴが前に出る」ってシチュエーションを作るのに、ライターの方々も、結構苦労してる気がします。最近特に、単に「ウルトラマンに変身する男」としてしか描かれていない気がして、ちょっと残念です(その意味で、もうじき登場の悪(?)のウルトラマンティガには期待してるんですが)。
太田脚本は、「ティガ」のライター陣の中では、良し悪しは別として一番感情に訴える作劇をしてる様な気がします。カラーもバラエティに富んでいて、その御蔭で随分シリーズに幅が出てる様に思います。ただ今回で言うと「メロン」「パン」は、シーンの緊迫感を失速させてしまったって点では、残念でした。その前の会話が良かっただけに、勿体なかったですね。ここぞってシーンにとって置かないと、有難みがなくなっちゃう気がしたんですが。
特撮はEX-J登場のシーンがヤマでしょうか?例によってモデルが小さくて、細部を描写するのが相当キツそうで、ちょっと可愛そうな気がしましたが、随所に挿入されるCGはカッコ良かったですね。デザインはモロにバンダイのラインですね。玩具を売る為とは言え、円谷、東映を問わず、登場するメカのデザインラインが殆ど同じっていうのは、ちょっと寂しいですね。従来のGUTSメカは、比較的その辺をうまくカラー出せてた(アートデッセイ辺りからちょっと危なかったですが…)と思うんで。全体的に今回は北浦監督、結構無難にまとめてしまった感が強いです。ただ、格闘シーンのコマ落しの演出効果はちょっと疑問。
イルドのデザイン、造形は結構好きな部類かも。ウルトラマンっぽいウェットスーツ宇宙人って、好きだったりしますし(いやはや…)。体表の模様はちゃんとゴム素材をカッティングして張り付けてますね。ゴムを複雑な形にきれいに切るのって、凄く難しいんで、感心しちゃいました。アップになると、ちょっと頭部が大きい気がしますが、全身写ると結構プロポーションが良くてカッコいいです。