今回は先週の予告が大げさだったせいで、どんなヘビーなエピソードかと思えば、かなりヘボピーなお話で、なんか拍子抜けでした。どうも最近「ティガ」は脚本の練り込みが全然足りません。申し訳ないですが、今回の脚本は素人レベルです。ディティールは結構面白かったんですが、肝心の骨格が全くフニャフニャで、本来エピソードを支えるべきレナの心情に、全然共感できませんでした。キングモーラットに対してあれだけ思い入れを込める為には、その前の動物園でのシーンが全く軽すぎるのです。もう少しレナの心情に迫る様な体験がなければ、あそこでああまで怪獣をかばうレナの行動を、視聴者に納得させる事はできない筈です。
後、決定的だったのは、怪獣との共存という、今回一番のポイントを、総てレナのセリフで処理してしまっている処でしょう。これは手抜きですよ。と言う訳で、安易な結末の付け方(あんな結末なら、今回の様なテーマを取り上げる必然がありません)といい、今回は脚本に殆ど良いところがありません。
…っとここまで書いて読み返したら、内容が超キツイです(いやはや…)。でもホントの気持ちです、今回は。それにエピソードごとにコロコロ変化するキャラクターの性格、言動にもちょっとウンザリ。最近のエピソード観てると、GUTSの面々の、分裂症的な言動が目立ちます。「この人はここでこんな事は絶対言わない」と思えるセリフを、ストーリーの為には平気で吐かせてしまうのが、最近の「ティガ」です(こんな事をしちゃいけないのは、シナリオの基本だと思うんですが)。本当に、誰がシリーズを統括しているのでしょうか?こういう部分をしっかり押さえて行かないと、遠からず空中分解する危険さえ見えて不安です。こういうのって役者さんも、演じてて嫌だと思いますよ。性格的に一貫性があるのって、シンジョウ位ですからね。
なんか不満をぶちまけちゃいましたが、特撮は全般的に手堅かったですね。良く見てると、四足縫いぐるみ怪獣の弱点である後ろ足を、極力画面に入れないようにしてます。この辺は大岡監督のベテランの技ですね。合成も地味ながらいいカットが多かったし、サイロ破壊シーンが少し気になった位で、安心して見てられました。
キングモーラットは久々にデザイン、造形がベストマッチした感がありますね。良い出来です。鼻の頭に型割りの分割線が残ってる様で、ちょっと気になりましたが、眉間から口元にかけての、筋肉の流れの表現は見事です。カラーリングもリアルながらメリハリがあって良かったし。造形がここまで来ると、四足の怪獣もあの後足の処理を、ここらで考えてみる必要がありそうですね。