うーむ惜しかったな、今回は。もう少し演出もストーリーも絞り込めて、ポイントが明確に伝われば、傑作になる要素は充分あったのに。前半、後半で演出のカラーがガラリと変わってしまった為に、結果としてコメディーなのか、シリアスなのか、観る側の思い入れが散漫になっちゃいました。ちょっとバランスを欠いた印象があります。
思い入れを疎外する要素はもう一つ、これはスクナオニのエピソードでも若干感じていたんですが、オビコを明確に「妖怪」として定義してしまってる処でしょう。妖怪について真顔で能書たれるGUTS 隊員って図は、正直みてるのがツラかったですね。ここまで疑似科学性にこだわって築いてきた作品世界の中で、それを捨ててしまったら、「ティガ」という作品世界自体が崩壊しちゃいます。エピソードのバラエティーを広げる事と、作品の基本フォーマットを放棄する事とは、違うと思うのです。この辺はシリーズを統括してゆく人物の不在を強く感じさせます。一考して頂きたい。
赤星さんは相変わらずの熱演。今回のエピソードをここまで底上げ出来たのは、赤星氏の力が大きいでしょうね。こういう役者さんは、もっと大切にしてあげたいです。
造形は仲々力入ってますね。頭部の複雑なモールドも見事な出来栄え。どうやら「ティガ」の造形は、デザインの出来不出来に直接的な影響を受けるみたいなんで(造形担当者のデザインに対する好き嫌いが結構仕上りに出てる)、丸山さんには、ぜひ気を抜かずにデザインして頂きたいです。頭部のデザインソースは、きっと新薬師寺の仏像だと思うんですが、鎧の巴(ともえ)や背中の飾り等、和風のデザインをうまく盛り込むのは丸山デザインの特色ですね。きっと丸山氏、雨宮慶太デザインのファンだと見ましたが(いやはや…)。